ネタバレ・あらすじ
海の見える丘に建つコクリコ荘を切り盛りする海は、毎朝庭に旗を上げる。
海が高校に行くと、友達が学級新聞に”旗を上げる少女”の詩が書いてあり、それは海のことではないかと言う。
その日、海はカルチェラタンの屋根の上から風間俊が飛び降りる姿を目撃し、落ちた風間の手を取るが、その様子の写真を撮られた海は「ばかみたい」と言ってその場を去る。
風間のサインが欲しいという妹、空の頼みによりカルチェラタンへ二人は風間に会いに行く。カルチェラタンとは、海の高校にある男子文化部の部室である。しかし、このカルチェラタンが老朽化による取り壊し問題で学校内の生徒で論争になっていた。この論争で取り壊し反対として頑張る風間の姿を見て、海は風間に協力したいと思うようになり、カルチェラタンの掃除をしたらどうかと提案し、そこから女子生徒も巻き込んだ大掃除計画が始まる。
ところが、コクリコ荘に下宿していた北斗の送迎パーティで、亡くなった父が友人2人と撮った写真を俊に見せてからというもの、風間は急によそよそしくなってしまう。実は風間は養子であり、朝鮮戦争で亡くなった海の父親は自分の父であるという。風間も海が持っていた写真と同じ写真を持っており、戸籍も確認したが海の父親と自分の父親が同じであることは間違いないという。二人はお互いに恋心を抱いていたが、風間は今まで通り、ただの友達でいようと海に告げる。それを告げられた海は深く落ち込んでしまうのだった。
やがてカルチェラタンの大掃除が進み、カルチェラタンが古き良き建物として輝きを取り戻すと、取り壊しに賛成していた生徒達までもが保存を望むようになる。しかし、学校側は取り壊しは決定事項であり、その決定は変えられないという。そこで生徒会長の水沼と共に海と風間は生徒の代表として東京に赴き、学校の理事長に直談判することにする。綺麗になったカルチェラタンを見学してもらう約束を取り付けるためだった。無事その約束を取り付けることに成功し、その帰り道に、例の詩の作者が俊であったことを海は知る。海は気づいていなかったが、風間は毎朝コクリコ荘の前を船で通っており、海の旗に応答する旗を船に揚げていたのだ。たとえ兄妹でも、風間のことがずっと好きだと海が告白すると、風間も海が好きだと答える。
海が帰宅すると、アメリカから帰国したばかりの母が待っていた。そこで母に風間のことを聞く。風間は実は海の兄ではなく、事故で亡くなった友人の立花から父が引き取ってきた子だというのだった。立花の妻は風間を産んで亡くなっており、親戚も皆ピカドンで亡くなっていた為に身寄りの無くなった風間を、父は自分の子として役所に届け出た。しかし、当時海を身ごもったばかりの両親にも風間を育てる余裕は無く、父の知り合いである風間の養親に譲り渡していたのだ。それを聞かされた海は、母の胸で泣き続ける。
翌日、約束通りにカルチェラタンを訪問した理事長は、生徒たちに共感してカルチェラタンの保存を約束する。喜びに沸く学校に、風間の養父から風間の生い立ちを知っているという人物が近くに来ているという連絡が入り、海と風間は港の大型船に駆けつける。大型船の船長を務めるその人物とは、海の父と風間の父のかつての親友で、写真に写っていた三人目の人物、小野寺善雄だった。小野寺から詳細を聞かされた二人は笑顔で肩を並べる。
そして翌朝、海は今日もいつものように旗を揚げる。今度は父親だけでなく、風間も船の上から見ている事を願いながら。
感想
昭和の世界を知らないけれど、昭和を生きたことがある人はどこか懐かしいと思うのではないでしょうか。作中「上を向いて歩こう」が流れたり、チンチン電車が走っていたり…。
この映画に出てくる海という少女は私からしたらあまりにも出来すぎている、しっかりとした女性という印象を受けるのだけど、昔の人はみんなこんな感じだったのかなぁと思ったり。それに対して風間君は今でいうと学校のカースト制度の上位にいる人物でしょうね。明るくて人気者、そんな彼と海の心温まるストーリーです。
途中、まさかと思う展開がありつつも最後はなんだかほっとして終わる…何度見ても涙が出てきます。ジブリの中でも「耳をすませば」と並ぶ好きな作品です。やっぱり風間君かっこいいですね。こんな人が身近にいればいいのに…。
脚本・演出まとめ
キャラクター
- 小松崎 海…港南学園高等部生。空・陸の姉。海をフランス語に訳すと、ラ・メール(la merとなる)となることから、メルと呼ばれている。
- 小松崎 空…海の妹・陸の姉。港南学園生徒。
- 小松崎 陸…海・空の弟。港南学園中等部生。
- 小松崎 虹江…海・空・陸の母。大学の助教授。
- 小松崎 花…海・空・陸の母方の祖母。
- 小松崎 島太郎…海・空・陸の母方の祖父。故人。
- 北見 北斗…小松崎家に下宿する医師。
- 風間 俊…港南学園高等部生。新聞部部長。
- 水沼 史郎…港南学園生徒会長。港南学園一の秀才。風間の親友。
- 広小路 幸子…海達からは「ヒロさん」と呼ばれている。コクリコ荘に住む油絵を専攻している美大生の女性。21歳。
- 友子…花が雇った家政婦。
スタッフ
- 原作 – 高橋千鶴、佐山哲郎『コクリコ坂から』(角川書店刊)
- 監督 – 宮崎吾朗
- 企画 – 宮崎駿
- 脚本 – 宮崎駿、丹羽圭子
- 音楽 – 武部聡志(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
- キャラクターデザイン – 近藤勝也
受賞タイトル
- 第35回 日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞(2012)
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] […]